床暖房の費用対効果
冬になると便利な暖房器具は色々あります。エアコンやコタツ、床暖房、ストーブ、電気式オイルヒーター、ファンヒーターなどが思い浮かびます。
その中でも、床暖房は家を建てるときに取り付けておかないと、設置することが難しい設備となっています。
家が完成してからの状態では、床を剥がして床下に配管を施さなければなりません。そのため、家を建設している最中に取り付けるほうが設置費用としは、剥がす工賃分安くなります。
エアコンと床暖房の比較
エアコンの場合であると、上空から暖かい風がきても暖かくなった空気は室内の上へ昇ってしまいます。
そうなってしまうと、足元には室内で一番冷たい空気が溜まることになります。室内全体の温度は次第に上昇してくるため、足元の温度も最後には暖まります。
ただ、上に昇った暖かい空気で暖頭寒足になり、足が冷たいのに頭が「ぼーっ」としてしまいます。そのうえ、エアコンの上から下に吹く風がホコリを舞い上げます。
エアコンから出力される風は、暖房であっても冷房であっても乾燥した風になります。そのため、夏場は湿度が高いために乾燥した風によって室内は適度な湿度に中和されるので、快適に感じます。
しかし、冬場は乾燥しているにも関わらず、さらに乾燥した空気をエアコンから出力するため、身体は知らないうちにカラカラの水分不足に陥ってしまいます。
目が乾燥して開けているのも辛くなります。頭も乾燥するので、かゆくなります。
一方、床暖房であれば乾燥した風を出力しません。ガス給湯器や電気の力によって暖められた温水が床下に這わせた管の中を循環します。
そのため、床から暖まって室内の上へと熱が上昇していきます。熱の発生源が足元からなので、暖足寒頭になるので頭がぼーっとしづらくなります。しかも、コタツのように足元だけを暖めるのではなく、部屋中が暖かくなるので自由に動きまわることができます。
床暖房の欠点
床暖房は、ガスファンヒーターやエアコンよりも即効性はありません。床を一枚隔てているので、まず床が暖まらなければ部屋まで熱が伝わらないためです。暖かさを感じるには時間がかかります。
そのうえ、光熱費は体感よりもはるかに高くつきます。
分譲マンションの鉄筋コンクリートでさえ、冬に毎日2時間から3時間ほど床暖房を使っていると、使った月の光熱費は1万円から2万円ほど増えることになります。
木造の戸建てであれば、さらに光熱費は高くなるうえに床暖房の効果を実感しづらくなります。木造の家は、鉄筋コンクリートより熱効率は下がるからです。
また、導入費用はガス式床暖房の場合であれば80万円前後とされています。電気式床暖房の場合は60万円前後と言われています。
光熱費としては、ガス式は月8,000円に対して、電気式は月1万3,000円が目安とされています。また、ガス式床暖房であれば高効率給湯器のグレードを上げなければいけません。
床暖房がなければ14万円程度の給湯器で済みますが、床暖房を付けると20万円程度の給湯器を購入しなければならなくなります。給湯器の寿命は早いものでは7年、長くもって14年程度と言われています。
買い換えるたびに6万円高い給湯器を購入しなければならなくなります。
床暖房を設置した30年間のランニングコスト
設置する場合としない場合を単純に比較してみると、どれくらいのランニングコストがかかるのか理解することができます。
例えば、ガス式床暖房を設置して冬季の12月、1月、2月の3カ月間に毎日2時間から3時間を30年間使う場合を想定してみましょう。「冬季1カ月分の床暖房光熱費分8,000円×3カ月×30年間=72万円」の光熱費になります。
さらに、「床暖房用高効率給湯器20万円-通常の高効率給湯器14万円=差額6万円」となります。給湯器は、統計から7年から14年が寿命と言われています。なので、概算として間をとって10年としましょう。
すると、「使用期間30年間÷給湯器の寿命10年=3回」の買い換えが必要になります。床暖房用の高効率給湯器と通常の高効率給湯器の差額は6万円ですから、「6万円×3回=18万円」の差額になります。
これらを合計すると、「ガス式床暖房設置費用80万円+30年間の光熱費72万円+給湯器買い替え差額18万円=170万円」もの違いになります。
まとめ
床暖房は、取り付けるにしても高気密高断熱の家でなければ、体感しづらい設備です。また、使うにしてもやや贅沢品と思ってください。
30年間で170万円の費用対効果があるのかを考えてから設置することをおススメします。
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